第2回 篝狂言『公演記』

かっぽ酒に酔い、460人が狂言に酔った

 「酔って笑うこれが狂言」をキャッチフレーズに5月26日、向日神社の鎮守の森で向日明神篝狂言が催された。前売り券は発売1ヶ月で完売し、9時から売り出された当日券は1時間で売り切れ、5時の開場を待ちきれず、4時には50人が並んだ。
 酒を飲みながら観る発祥当時の狂言を観ようと、社叢学会が全国から会員を集め、大阪のコミュニティジャーナル社はツアーを組んだ。
 狂言は室町時代、力をつけた農民のバイタリティを糧として生まれ、鎮守の森の祭りで田楽や獅子舞、白拍子や風流踊りなどと演じられた。
 当時の祭りを再現しようと4時から、八坂神社の祇園獅子舞と宇治田楽が奉納され、5時からかっぽ酒が振舞われ、7時本殿から聞こえる太鼓の音とともに篝狂言が始まった。 当時のアドリブ満載の狂言を復活させようと、水上勉の小説「櫻守」の舞台となった桜の苑の復元が、裏参道沿いで行われていることを随所にちりばめ、過去と現実が一体となった狂言に観客は笑いと拍手、手拍子で答えた。
 演者と観客で創る『向日明神篝狂言』は、日本一の狂言会を目指して着実に歩を進め、来年の5月24日(土)3回目の篝狂言が催される。

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3時からお茶席(煎茶方円流)が設けられ、お茶とお菓子の接待が始まった。
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弁当、お茶、ビールの売店も店開きし、篝狂言のビデオやDVDが売られた。
篝うちわも販売。
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用意した450個の竹のコップと2斗2升のかっぽ酒は2時間でなくなった。
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西向日駅で久嶋市長と安田府会議員が並んで来客を案内。「自慢できる行事をつくろう」という趣旨に賛同し、並んで来客の案内をする姿に新しい向日市を感じた。
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宇治田楽祭り実行委員会が田楽を奉納。平成10年、宇治の貴重な文化遺産を復興しようと市民が立ち上がり、行政が後押しして「宇治田楽祭り」が始まった。毎年10月の夜、宇治川の中洲塔の島で2千人の観客を集め、老若男女市民150人が演じる田楽は圧巻である。
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八坂神社青年会が祇園獅子舞を奉納。祇園祭は平安時代に始まり、後期につくられた絵巻物に当時の祭りの様子が描かれ、獅子舞が見える。昭和43年茂山千之丞さんの振り付けで復活し、全国に珍しい男女の獅子舞として、花笠巡行の先頭を務め、神楽殿で奉納される。
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火入れ冠者(ひいれかじゃ)
今年も氏子総代長の小野廣一さんと副総代長の安達敏幸さん、高木正温さんが火渡し役を。
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丸石やすしさんを講師に狂言の笑い方を講習。会場が笑いで爆発。
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昆布売(こぶうり)
劇中で歌われる室町時代の平家節、小唄節、踊り節に合わせて手拍子。
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素袍落(すおうおとし)
「向日神社のかっぽ酒は格別のものである」と太郎冠者の千之丞さん。
「裏山で桜の苑の手入れをしていた」と伯父の丸石やすしさん。

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