『茂山千五郎家』

「お豆腐狂言」

 茂山千之丞さんを筆頭に、「向日明神篝狂言」を公演してくださっているのは、大蔵流茂山千五郎家の狂言師のみなさんです。

 現在、狂言の流儀には、大蔵流と和泉流とがあります。大蔵流は、京都に茂山千五郎家と茂山忠三郎家、東京に大蔵家と山本東次郎家があり、よく「柔の茂山家と剛の山本家」と表現されるそうです。
 茂山千五郎家のモットーは<お豆腐狂言>。詳しいことは、集英社新書から出版されている『世にもおもしろい狂言』を読んでいただけると、わかりやすく、面白いんですが、ここでは、<お豆腐狂言>の由来だけ紹介させていただきます。

 

「 あちこち出掛けて行くうちに、いろんなところから、たくさん声も掛かるようになりました。当時、「おかずに困れば豆腐にせい、余興に困れば茂山の狂言にしとけ」というのが、京都の人の口癖になるくらいだったといいます。最初はひょいひょいと出掛ける我々を揶揄する向きもあったようですが、ひいじいさんは、そんな噂を耳にするとこういったそうです。
『豆腐で結構。豆腐は高級料理にもなるが、冷や奴や湯豆腐で庶民にも喜ばれる。それでええのや』」 (「世にもおもしろい狂言」、より)

「向日明神篝狂言」

 茂山千之丞さんが演出する「向日明神篝狂言」は、能楽堂やホールでは味わえない、舞台と客席が一体となった酔って笑える狂言会です。

 第1回篝狂言で解説をしてくださった茂山千三郎さんは、こんなふうにおっしゃっていました。

 

「・・・(火入れ冠者は)一応台本らしきものはあったんですけど、私もチラチラッとはみてたんですけど、ほとんど適当にやってましたね。(笑)
火が、こう、通ってくるところなんかも、タイミングも、二人の、作りながらの狂言みたいな感じで進んでたんですけども。でも、狂言って、そうやって始まったんだろうなぁ、って思うんですよね。」

 オリジナル作品『火入れ冠者』はアドリブ満載で、そして、よく知られた曲目は、舞台と客席が一体となり、観客の声援に呼応して演じられ、この場所で「生きた狂言」を創り出します。

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