第3回 篝狂言『演目』
1. 『火入れ冠者(ひいれかじゃ)』
果報者茂山千之丞
太郎冠者茂山童司
火渡し安田守
白幡洋三郎
徳丸國廣
田楽宇治田楽祭り実行委員会
獅子舞八坂神社青年部
田楽と獅子舞が加わった、『第3回向日明神篝狂言』のための新作狂言です。
「向日神社の神様がついていなさるのに、なぜ雨になったのでござろう」と問う太郎冠者。
「ご祭神は火雷神(ほのいかづちのかみ)雨乞いの神様じゃ。田植えの季節とて、雨を降らされたのであろう」と答える果報者。
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2. 『柿山伏(かきやまぶし)』
山伏茂山逸平
畑主丸石やすし
修験道の霊地「大峰・葛城山」で修行を終えた「駆け出し」の山伏が、故郷出羽の国に帰る道中、空腹のあまり柿の木に登って柿をむさぼり食べていました。たまたまそこを通りかかった柿畑の主のお百姓がこれを見つけ、この横着な山伏に鳥や獣のまねをさせて懲らしめる話です。
狂言が生まれた中世、山伏は大変な権威を持っていました。その強い立場にあった山伏を、庶民の代表である農民が、からかって笑いものにするのが、この狂言のテーマになっています。
舞台装置をまったく使わずに、すべて役者自身の演技(独白と仕種)によって表現する狂言の特徴が、よく表れている佳作狂言です。
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3. 『貰婿(もらいむこ)』
夫茂山あきら
女房茂山童司
舅茂山千之丞
夫婦喧嘩を主題にした狂言が数番ありますが、大抵はわわしい女房に手を焼く哀れな夫が主役です。ところがこの『貰婿』は、酒癖の悪い亭主が酔った勢いで女房を追い出すところから始まります。
女房は泣く泣く父親の家へ帰り、もう金輪際夫のところへは戻らないと訴えます。父親は何とか丸く収めようと思案しているところへ、酔いから醒めた夫がしおしおとやってきます。詫びを入れて女房を連れて帰ろうというわけですが、この場は如何に収まりますことやら・・・・・。
里へ帰った妻を連れ戻す─貰い受けようとする婿の物語、これが演目の出所になっています。「犬も食わない夫婦喧嘩」の中に親が入って、結局馬鹿を見るのは今も昔も親の方です。最後の親のせりふは、そうした親の複雑な気持ちを見事に表しています。
「来年の篝狂言には呼ばんぞ」と言ってしおしおと退場。
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